人間賛歌ブログ

映画、音楽、仕事、食べ物、、自分が取り込んだもので自分がどうやって成長していくかの記録です。

ウォルター少年と、夏の休日を観ました。

元題は『Secondhand Lions』中古のライオン?でいいのかな。自分で作成した観たい映画リストにあったので借りてみました。正直、この邦題はあんまり好きじゃないな。ゲオで借りるときに、これ本当に面白いのか?と小一時間悩んだもん。しかし、そんな杞憂も吹っ飛ぶくらいに、気持ちの良い映画でした。

以下、あらすじ。

1960年代初頭のテキサス。14歳のウォルターは、だらしない母親メイの勝手な都合で大伯父さんたちの家に預けられる。 祖母の兄弟であるハブとガースは40年間も消息を絶っていたが、最近になって出所不明の莫大な金を持って帰ってきたらしい。 メイは、2人の金の隠し場所をウォルターに突き止めさせ、あわよくば、子供も相続人もいない2人がウォルターを気に入って遺産を遺してくれることを期待していたのだ。 そんな強欲な母親に辟易しながらも仕方なく大伯父さんの家にとどまるウォルター。
電話もなければテレビもない家に暮らす大伯父さんたちは、莫大な金を目当てにやってくるセールスマンたちをショットガンで脅して追い払うことを楽しみにしているような変わり者。そんな大伯父さんたちにウォルターは唖然とするばかり。
大伯父さんの家で過ごす最初の夜、ウォルターは寝室で美しい女性の写った1枚の古い写真を見つける。そしてハブが寝巻きのまま夢遊病のように庭で奇妙な行動をとる姿を目撃する。
いぶかしがるウォルターに、ガースは2人の若き日の冒険とハブの情熱的な恋について話して聞かせる。

ウィキペディアより。

この映画の主人公のウォルター少年、だらしない母親の汚い大人の一面を見ながら育ったためか、非常に疑り深い。その母親の汚い一面は映画の中で何度も出てきます。ま、でもこの歳の子はみんな疑り深いのかね?自分自身もそうだった気がする。まあ、それは置いておいて。この映画に出てくる、2人の老兄弟、マッケーン兄弟。ハブとガース。この2人のキャラがすごくいい。キャラもそうだけど、マッケーン兄弟を演じる、マイケル・ケインとロバート・デュバルの演技がたまらん。ぶっきらぼうな兄弟を見事に演じてます。少しとぼけているけど、腕っ節の強い兄、ハブとその兄とは反対に穏やかで冷静な弟、ガース。この2人のところにウォルターは預けられます。

この映画の個人的なキーワードは真実と言う言葉なんじゃないかな。あとは老い

なんか二つもキーワードを選んでしまうあたり、自分の情報のまとめ切れなさを露呈してるよなあ。
一つ目の真実ということに関して。母親の汚い姿(嘘をつく)や、マッケーン兄弟の遺産を狙って、次々とやってくるセールスマンや、親族たち。表面はいいように見えても、本心は金を狙ってる連中。そんな大人の汚い一面、嘘で塗り固められた部分を何度も見てきたマッケーン兄弟とウォルター。そんな中、兄のハブがウォルターにあるスピーチをします。

以下、そのスピーチ。

人には真実かどうかは別として、信じるべきことがある。人は生来、善なるものだ。自らの誉れ、勇気、高潔さこそが全て。権力と金は全く意味が無い。善は必ず悪に勝つ。そして愛は…真実の愛は永遠に滅びない。

や、このシーンはなにか心震えるものがありますね。今まで人を疑いながら生きてきたウォルターにはこのスピーチはどういう風に聞こえたのでしょうか。権力や金にばかり捉われて生きてきた母親やその親族たち。それと相反する生き方をするマッケーン兄弟。酔いも甘いも経験してきたマッケーン兄弟だからこそ、話せるものなのでしょう。

二つ目の老いというキーワードに関して。物語の途中で、マッケーン兄弟のところに老いたライオンが運ばれてきます。マッケーン兄弟の暇つぶしのために、動物園から買ったものでしたが、運ばれてきたのは年老いたメスライオン。これでは2人の暇つぶしになりません。原題の『Secondhand Lions』はここからとったものなのでしょう。その年老いたライオンを見たハブは「動物園に見捨てられた厄介者め」と言い放ちます。兄はこのライオンと今の自分をどこか似たものを感じ取ったのでしょうか。ハブの過去は目を見張るほどの偉業です。二度の大戦を経験したり、一国の王妃と結ばれたりと誰が見ても華やかしいものでした。しかし、現在のハブはのこのことやってくるセールスマンをショットガンで追い払ったり、毎日畑仕事をしたりと、過去の豪傑を誇っていたハブの見る影もありません。そんな自分と百獣の王を誇るライオンを重ね合わせて、「動物園に見捨てられた厄介者め」と自分にも言い聞かせるようにしたのでしょうか。
老いは生き物皆、平等に訪れるものです。そのことを考えると、上記のハブのスピーチはウォルターだけでなく、自分にも言い聞かせていたと個人的に思いました。

小中学生や高校生にもちろんオススメな作品ですが、推純粋な心を忘れかけている大学生や日々の生活に追われる社会人にも見ていただきたい映画です。